先日の東洋経済オンラインの記事からです。

タイトルは、『人生の「四苦八苦」は半分にできる』でいす。

・・・みなさんは、「四苦八苦」という言葉の本来の意味をご存じでしょうか。現在は慣用句として広く用いられていますが、もともとは仏教の用語で、人間が生きるうえで思うままにならないことを指す言葉です。

「四苦」とは、根本的に人間が避けることのできない「生・老・病・死」の4つの宿命を意味します。人としてこの世に生まれてくること、 年老いていくこと、病に冒されること、そして死ぬこと。どうあがいても、誰も決して逃れることのできない必然的な定めです。

「八苦」とは、人間が人間として生きていくうえで味わう、次の4つの苦しみを指します。

・欲しいものが手に入らない「求不得苦(ぐふとくり)」
・愛する者と別れなければならない「愛別離苦(あいべつりく)」
・嫌な人と出会ってしまう「怨憎会苦(おんぞうえく)」
・世の中はままならないものだという「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」
 
これらは、決して避けようがない「四苦」とは本質的に大きく異なります。いったい、何が異なるのでしょうか?

答えは、「自分の心をうまくコントロールすることによって解決できる苦しみ」だということ。つまり、心がけ次第で、人生の四苦八苦のうち半分をなくすことができるのです。

みなさんの心のなかに”針”があると思ってください。針は、あなたの心の動きにしたがって右へ左へと行ったり来たりしています。何かいいことがあったり、気持ちが満たされたりすると、心の針はプラスのほうに振れます。

かたや、怒りや不満でイラッとしたり、ムッとしたりすると、その瞬間、心の針はマイナスのほうに振れます。イライラする時間が長く続いたり、その頻度が多かったりすると、針はマイナスが定位置となってしまいます。

これはストレスを抱えている状態で、常態化すれば心身の健康にもよくありません。ときに、心の針が勢いあまって振り切れてトラブルを招いたり、最悪の場合は犯罪など取り返しのつかない事態に至ることもあります。

イラッとしたり、ムッとしたりして得することは何1つありません。イライラした分だけ、人生は悪い方向へ近づいていきます。私たちは、心の針の動きに振り回されるのではなく、自らコントロールする必要があるのです。

「四苦八苦」の克服方法

イラッとしたり、ムッとしたりしたときには、「あっ、いけない」と早く気づいて、心の針をプラスの方向に引き戻す努力をしなければいけません。つねに心の針を「プラスに向けよう、プラスに向けよう」と意識し、それを実践する必要があるのです。

前述した四苦八苦の「八苦」も、心の針をコントロールすることで克服が可能です。

欲しいものが手に入らないときには、その存在を忘れてしまいましょう。「手元にないもの」や「手に入らないもの」について悶々と考えることをキッパリとやめ、かわりに「手元にあるもの」に焦点を当てて感謝しましょう。これは「知足」、つまり「足るを知る」という仏教の教えにも通じます・・・

・・・社会に出れば、嫌な人、苦手な人と出会ってしまうことも必然です。イラッ、ムッというネガティブな感情にとらわれることなく、

「なぜ、自分はこの人のことが苦手なのか?」

「どうすれば好きになれるのか?」

「このご縁に向き合うことで、自分はどう成長できるのか?」

このように、ポジティブな発想転換をはかりましょう。

そして、世の中はままならないものです。人生は自分の思いどおりにいかないことの連続ですが、そもそも、自分がコントロールできるのは自分だけ。自分以外の他者や外的状況をコントロールすることは不可能です。「思いどおりにしたい」という驕りを捨て、心の針をプラスへ向けながら、周囲と調和して謙虚に生きることで、人生の苦しみはぐっと軽減します。

運の良し悪しは”心のクセ”にすぎない

心の針がプラスに向けば人生は明るい世界に向かい、心の針がマイナスに向けば人生は暗い方向に向かいます。実は、これが人生の「幸」と「不幸」の分かれ道。つまり、人生は、各人の心の在り方によって変わるということです。

人生の「運の良し悪し」は、実体のないあいまいなものでも、神通力に頼る他力本願的なものでもありません。ある意味、各人の”心のクセ”のようなものです。

私自身も昔は、「自分は運が悪い」と思っていました。要領のいい人や、ズルをして利を得ているような人を横目に見ながら、ムカムカしたり、イライラしたりしては心を曇らせていた時期がありました。

しかし、大峯千日回峰行をはじめとする十数年にわたる修行や日々の心がけの結果、心の針がいつもプラスを向くようになりました。すると、人生に変化が訪れました。あらゆる物事が自然と、よいほう、よいほうへと運ばれていることに気がついたのです。

運とは、「運ぶ」という漢字を書きます。これは、幸運や不運が、ある日突然に立ち現れるものではなく、脈々と続く流れによって運ばれるものであるということを表しています。

つまり、いまの自分の心が、明日の自分が運ばれる方向を決めるということです。よい方向、悪い方向、自分の未来がどちらへ運ばれるかは、いまの自分の心次第なのです・・・

嫌な出来事や苦しい出来事があっても、悲しい出来事に見舞われても、それに引きずられることなく、心の針をマイナスからプラスのほうへと引き戻す努力をしたいものですね。

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