2002/ 4/30(火)
『豊田章一郎氏、安藤百福氏』
春の叙勲受賞者が発表されました。勲一等旭日大綬賞の豊田章一郎氏(トヨタ自動車名誉会長)および勲二等旭日重光章の安藤百福氏(日清食品会長)について本日の読売新聞のコラム欄に紹介されております。
トヨタ自動車の名誉会長、豊田章一郎さん(77)に、カマボコ職人の修業をした体験談を聞きかけたことがある。戦後間もないころの話である◆社命を帯びて北海道の稚内に赴き、海辺の小屋に住み込んで製法を学んだという。“聞きかけた”と半端な物言いになったのは、ご当人が話の途中でぴたりと口をつぐんでしまったからだ◆戦後不況でさしものトヨタの屋台骨も揺らいだ時期である。「苦境に強いのは食。カマボコで当座をしのげたら」というのが稚内行きの真相だったらしい。記憶の彼(かな)方(た )とはいえ、触れたくはない過去だったのだろう◆同じころ、やはり食を見つめていた人がいる。日清食品会長の安藤百福(ももふく)さん(92)は大阪の闇市でラーメン屋台の行列に見入っていた。当時三十代半ば。「食こそが人間の原点だ」と電気に打たれたように悟ったそうだ◆金もない、物もない無一物から安藤さんの研究が始まる。できるものか、売れるものか、という冷ややかな視線も浴びつつ、世界初の即席めんを世に出したのは一九五八年(昭和三十三年)。四十八歳になっていた◆吹きすさぶ木枯らしに巻かれ、冷たい雨に打たれながら、冬の木々はやがて来る春のために、体内深く花の色をはぐくむという。きのうの朝刊に載った「春の叙勲」の受章者一覧におふたりの名前があった。
自動車を通じて豊かな社会づくりが念頭の豊田氏、チキンラーメンを開発した安藤氏。2人のエピソードということでしようか。物事に対する信念がストレートに伝わってきます。
2002/ 4/29(月)
『みどりの日』
本日はみどりの日。ネットで検索したところ、次のような解説でありました。
「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ 国民の祝日。
1989(昭和64)年1月7日の昭和天皇崩御の後、それまでの天皇誕生日を「生物学者であり自然を愛した昭和天皇をしのぶ日」として「緑の日」とすることとなりました。
しかし、実際に制定された法律では、昭和天皇をしのぶという趣旨はもりこまれませんでした。
このため、「昭和の日」に改称する法律案が超党派の国会議員により提出されましたが、廃案になりました。」
何度読んでも、なぜ、みどりかは直接表現されていません。あえて言えば、文中の「自然」とリンクさせていると考えるべきなのでしょうか。
ご承知のとおり、当事務所(根本的には私自身)のイメージ統一カラーは「みどり」。事務所関連のありとあらゆるものが、みどりであります。事務所の外装、床、封筒、名詞、制服、ネームプレート、事務所通信のタイトル、スタッフ親睦会の名称、トイレの便器の色まで。スタッフは半ばあきれているのかもしれませんが。私自身の小学校1年の時からのこだわり(こだわりは愛着であります。)であります。目にもやさしい色であります。
というわけで今日は、当事務所の日と言っても過言ではありません。というのは勝手に解釈している私だけの考えでしょうけれども。
2002/ 4/28(日)
『交際費課税』
昨日の演習問題の解答を数人の方からメールでいただきありがとうございます。
そこでゴールデンウィーク第2弾の問題です。
交際費は古くて新しい税務課題といわれています。先日当事務所である販売促進費の支出について交際費となるかどうかについて協議したことがありましたので法人税法上の交際費の取り扱いについて一言。
現在資本金5000万円超の法人は、交際費は全額損金にはならない、すなわち支出があってもその支出がなかった場合と同じように税金の計算をするという取り扱いであります。資本金5000万円以下の法人は年間400万円までの支出した交際費については80%まで損金、400万円を超えた部分については全額損金にはしないということであります。
仮に資本金が5000万円以下の法人のケースで年間の交際費が200万円の場合はその80%の160万円が損金、残りの40万円は損金とならずに所得に加算されてしまうということになります。
そのため、得意先に、手土産として5000円の菓子折を持参した場合は、このうち法人税の所得計算上4000円しか損金にはならず1000円は所得に加算されてしまうということになります。実行税率が50%と仮定するとその1000円の所得に対して税額が500円。すなわち5000円の菓子折を持参するという行為は会社として5500円の出費となるということであります。
そこで問題。次の支出のうち、法人税法上交際費となるものはどれでしょうか。
得意先を当社の社員が料理屋さんで接待した場合の支出です。
@飲食代金のうち得意先の分
A飲食代金のうち当社社員の分
B当社の社員が得意先を迎えに行った際のタクシー代
C接待が終わって得意先を自宅まで送った際のタクシー代
D当社の社員が自宅まで帰るタクシー代
以上であります。
2002/ 4/27(土)
『構成部品の必要量は』
昨日のセミナーでの演習問題です。
C部品とD部品を組み合わせてB部品ができあがり、このB部品とF部品を組み合わせてAという製品が完成する部品構成において、現在のそれぞれの在庫量が次のように与えられている場合、A製品を100個作るには、各部品B、C、D、Fはあといくつ調達する必要があるか、という問題です。
現在のそれぞれの在庫量
A =0個 B=33個
C=12個 D=47個 F=20個
【答え記入欄】
B ( 個)、 C( 個)、 D( 個)、 F( 個)
このゴールデンウィーク期間中に、頭の体操と思って、ぜひ、トライしてみてください。数日後にこのコーナーで正解をお伝えいたします。
2002/ 4/26(金)
『工場管理手法』
昨日は、「工場管理者の役割と管理手法」というテーマで、湘南工科大学の金谷孝助教授の講義を一日聴く機会がありました。
冒頭に、ゆでガエルの話を開口一番に説明。
水槽の中にカエルを入れてその下からコンロの火で熱し続けると、水槽の中のカエルはどうなるかという問題です。
カエルは水温が徐々にあがりはじめても、スイスイと泳ぎ続け、あるところまでいくと、ばたっと止まり、死んでしまうというという答えであります。
我々の行動パターンを比喩で表現しているわけで、激変する環境の中でその変化に気がつかず従来通りの手法でやり続けるといつか突然破綻する日が来るということであります。
一度原点に返って見つめ直してほしいという訴えでありました。
変化に対応して迅速に意思決定を下すことが大事であり、進化しなければ衰退するということを力説しておられました。
研修の本題でありますが、工場管理は、ERP(説明は省略させていただきます。)を導入しなければならない時代が到来する。そのために今からインフラ整備をしてそのときに備える必要があるという結論でありました。
あるべき姿と現状を比べ、そのギャップを解決していくことが何よりも必要ということも話されたわけでありますが、これはすべてのことに共通であるという感であります。
2002/ 4/25(木)
『ふつうのことをふつうにやる』
ふつうのことをふつうにやる。簡単そうに見えて難しい。それができるのが日本人の特徴とされてきました。やや行き過ぎくらいの律儀さは勤勉性の反映でもあったようですが。その律儀さが最近、急速に薄れてきているといわれています。
ふつうのことがふつうにやれない。みずほのシステム障害はその証明ではないでしょうか。2年半もの準備期間があって、なぜ、出来なかったのか。前田社長の答弁では、どう考えても理解できないというのは日本国民すべての感想ではないでしょうか。
今日は企業の給与振り込みの集中日。銀行間送金の時間を1時間延長しての対応をとるとのことですが、トラブルが起きないことを祈る次第であります。
信用や評判というものは一夜にしてなくなってしまうもの。ふつうのことをふつうにやれるように、今回のみずほのトラブルを我が身ととらえて今一度、基本にかえりたいものです。ゴールデンウィークを目前にして気もそぞろになりがち。今一度気を引きして・・・・・・。
2002/ 4/24(水)
『社会保険と労働保険の保険料徴収一元化』
本日の日経朝刊によると、厚生労働省は、社会保険と労働保険の徴収を2003年度から一元化する旨の報道がされています。
なんと画期的なことか。企業は一カ所で納付手続きが済み、事務の効率化大であります。
さらに、社会保険と労働保険の加入申請をインターネットで受け付ける制度を来年度から導入するとのことで、うれしい限りであります。
次は、法人税と法人住民税・法人事業税の一元化を期待したいものであります。担当省庁が異なるので難しいのかもしれませんが、消費税と地方消費税(国税と地方税)が一申告でなされていることを考えれば可能かと思うのでありますが。実現すれば、地方行政の事務効率化に計り知れない効果があることはいうまでもありません。その分、地方交付税が削減されてもという感であります。
2002/ 4/23(火)
『税制改革』
税制改革の議論が最近、また、再燃しております。そんな中で、塩川財務相は20日のG7で、経済活性化に向けた税制改革について「減税が先行することもあり得ると説明した」と述べたと報道されています。将来の増収策をあわせて決めることを条件に先行減税の考えを表明したものと解釈されておりますが。
その場しのぎ的発想としかとられない税制改革では、わが国の税制がますます歪み、これによって税制自体が国民の信頼感を失っているのは紛れもない事実ではないでしょうか。
国民が望んでいる21世紀の税制の抜本改革とは、「税制の歪み・ひずみを是正し、近代的な公平税制を実現してほしい」ということなのだということを忘れてもらっては困るということを力説しないではいられない今日このごろであります。
税制審議会では、給与所得控除制度を廃止し実額控除を適用する方向で進んでいるようですが、果たしてこれで公平税制の実現と言えるのかも疑問であります。
2002/ 4/22(月)
『健康のありがたさを痛感』
健康とは、普段あたりまえという感覚で当然的なことで意識しないものですが、健康を害したときに初めて普段の健康のありがたさがわかるものです。
普段の生活の中で、あれもこれもと右往左往するだけではなく、視野を200%広げて足下を時には見つめながら進むべきであると思う今日この頃であります。
「ゆとり」と「余裕」という言葉が、なぜか大切にしたいという気分であります。
今日から私自身2週間ぶりの完全復活です。200%完全充電完了いたしました。このコーナーもスタッフのみなさんより毎日の更新を維持していただきましたが、今日からは、従来通り毎朝7時までに更新したいと思っております。
業務の面についてもお客様等に多大のご迷惑をおかけいたしました。お詫び申し上げるとともに、今まで以上の情熱を持って事務所の所是のとおり「企業の永続発展を願い共に考え行動を」する所存です。
スタッフのみなさん。本当にありがとうございました。あらためてここで感謝申し上げます。
自身で面接し採用させていただいたスタッフであるわけですから当然ですが、あらためて、当事務所のスタッフは頼もしいと感じた次第であります。
月末の一週間のはじまりです。
充実した週にいたしましょう。
2002/ 4/21(日)
『老人』
老人こそ一家の中心。
今日のカレンダーの言葉です。育ちあう家族にとって祖父母はまさに心の重石であり、人生の指南役であるという解説です。
2002/ 4/20(土)
『財貨』
財貨は、欲の分だけ差し引かれる。
今日のカレンダーの言葉です。使うべきところにどんと使う人には寄ってくるが、しみったれた人からは逃げ出してしまうという解説です。
2002/ 4/19(金)
『目的』
目的を持ち、目標設定し、研鑽・努力をし続ければ必ず達成する。その課程で生じる失敗で失望し、諦めれば次のチャンスも成長もない。
今日の自己啓発格言の解説です。
2002/ 4/18(木)
『物に恵まれる人は 物を生かす人』
人は、衣食住をはじめ、あらゆる物の恵みの中で生きている。いや、生かされている。
そのことに感謝し、大切に使う時、物は水を得た魚のように生き生きと働く。物を生かすとは、物の「いのち」を生かすことである。
今日のカレンダーの言葉と解説です。
2002/ 4/17(水)
『お客様』
お客様、顧客、得意先、購買者など種種様々な呼称がある。お客様といっても年代別、良客、不良客、男女別、年収層別、職業別といろいろ多種多様にわかれ、その上に要望がそれぞれに異なる。顧客全体で把握するのではなく、顧客を個客としてとらえ可能な限りの満足を勝ち取ろう。
今日の自己啓発格言の解説です。
2002/ 4/16(火)
『妥協するのはくもった愛情』
妥協グセのある人は、気づいた時の的確な処置を心がけるとよい。妥協か優しさか、判断のつかぬ人は、自分の行動に「何のために」という問いを発してはどうか。明確な目的意識と即行の実践が、愛情に磨きかけてくれる。
今日のカレンダーの言葉と解説です。
2002/ 4/15(月)
『不和雷同』
不和雷同になると不信が生まれる。都合よくその場のみで考えを述べている人は信用できない。自己の生き方、この会社・職業に対する信念・確信を抱き、又は道を求め、時には迷いが生じても歩き続ける。頼り甲斐のある上司・先輩になる事を目指そう。
今日の自己啓発格言の解説です。
2002/ 4/14(日)
『約束を守る人には よい友ができる』
出会いを大切にする人には、さらによき出会いがもたらされる。出会いを大切にする第一歩は約束を守ること。約束を守ることは、信じる力を磨くこと。磨かれた分だけ信頼され、自然と周囲に人が集まる。
今日のカレンダーの言葉と解説です。
2002/ 4/13(土)
『誕生日・結婚・お祝い・・・・』
花は生活に様々な場面に登場します。
季節は春爛漫。生花店の店頭には色とりどりの花が並びます。
もらって嬉しい花を主婦に聞いたところ、順位は次の通りとか
(日比谷花壇日比谷公園店調べ)
1.バラ(愛、美)
2.チューリップ(博愛、思いやり)
3.かすみ草(清らかな心)
4.ユリ(純潔、気品、尊厳)
5.カーネーション(赤は母の愛、白は亡き母)
6.スイートピー(優しい思い出、門出)
7.ひまわり(あなたを見つめる)
8.ガーベラ(神秘)
9.すずらん(幸福の再来、純潔)
10.マーガレット(意を占う、予告、真実の愛)
ちなみに、好きな花の色は、1位ピンク、2位赤、3位黄色だとか
2002/ 4/12(金)
『税負担の空洞化』
経済財政諮問会議や政府税制調査会などで税制の抜本改革の議論が活発に行われています。
情報公開が当たり前の世の中とはいえ、議事録などを見て驚くのは、専門家だけにしかわからない用語が各所に見受けられること。
なかでも理解に苦しむのが「税負担の空洞化」。
それがいまの税体系のなかで一番の過大として取り上げられています。おそらく、税負担が一部の人に対して偏っていると言う意味かと思いますが。
もっと国民に分かりやすい言葉で、国民の目線で、国民の意見を反映した議論をしてもらいたいものであります。
2002/ 4/11(木)
『4月月例経済報告』
政府は10日、月例経済報告関係閣僚会議で、4月の月例報告で景気について「依然厳しい状況にあるが、底入れに向けた動きがみられる」との判断を示しました。
これで2ヶ月連続で上方修正となります。
企業の景況感も悪化に歯止めがかかってきたとしています。
さらに、もう一歩踏み出したいところですね。
2002/ 4/10(水)
『景気ウオッチャー調査』
堺屋太一氏の発案で2000年1月から、タクシー運転手、コンビニ店長、飲食店経営者らにアンケートして始まった「景気ウオッチャー調査」が3月に最大幅の改善を見せたとか。
問題はその後の動向。
いずれにしても動きが出てきたことは確か。追い風であります。
2002/ 4/ 9(火)
『旅』
人生の中では旅が重要な体験・経験になるそうです。損得でも良し悪しでもない。人間としての成長を必ずもたらすとか。時には初心に戻り、旅をするように一瞬一瞬、一日一日を大切にする姿勢で仕事に臨もう。
本日の自己啓発格言の解説です。
2002/ 4/ 8(月)
『ライバル』
ライバルの存在しない経済活動はない。どの業界も模範とされ、目標とされる会社(組織)は、顧客志向に立ち業界成長のため、ライバルからも学びライバルへの刺激をも実践している。
上記自己啓発格言の本日の解説であります。
2002/ 4/ 7(日)
『オフ』
本日、公私とも完全休養日とさせていただきます。
2002/ 4/ 6(土)
『裸の王様』
インターネットで「裸の王様」を検索したところ、次のような書き込みがありました。
アンデルセンの童話「裸の王様」は、こんな話だった。
昔あるところにおしゃれな王様がいた。そこに悪い二人組が近寄り、「バカや役に立たない人間には見えない、上等の布で服を織ります」と上申し、大金を受け取った。
しかし二人組は布を織る振りをしているだけである。
服が出来上がるのを事の外楽しみにしていた王様は、時々数人の家来を遣わせて進み具合を見させるのだが、家来は「見えなければならない」立場上、実際は見えなかったにも拘わらず、王様の前では「煌びやかで何と素晴らしかったことでしょう…」とか何とかデタラメを報告するばかりであった。
「服が出来上がったら、パレードに着て国民の前に出よう。早くバカと利口者を見分けたいものだ。」と楽しみにしていた王様の前に、出来上がった服が届けられました。しかし王様には、何ということでしょう!!。見えなかったではありませんか!!!。(当たり前のことですが……。)
しかし「見えない」と言えない王様は、「これはお見事じゃ」と大喜び。家来たちも口々に「何と素晴らしいことでしょう」とか囃し立てるのです。王様は胸を張って国民の前に登場したものです。
国民は国民で、「誰に見えるか/見えないか」に興味津津だったものだから、みんな口々に「お見事」と言うばかり。
そこにいた一人の少年が、「嘘だい。裸だよ。僕には何も見えないもん。」と言ったのでした。
最近よく「近裸の王様」という言葉を耳にします。皆さんはこの王様をどう思いますか。
昨日、当事務所真ん前の事務所にドロボウが、ガラスを割って進入。警察の聴取を受けました。用心したいものです。
2002/ 4/ 5(金)
『意思決定12の心得』
シンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂広志氏著「意思決定12の心得」の要旨が紹介されていました。
・・・・・・・意思決定 12の心得とは、
(1) 意思決定に必要な 3つの力を身につける。
(2) 衆知を集めて、独りで決める。
(3) 感覚を磨くのではなく、論理を究める。
(4) 経験を積むのではなく、体験に徹する。
(5) ただ進むのではなく、退路を断つ。
(6) 論理を語るのではなく、心理に語りかける。
(7) 説得するのではなく、納得をしてもらう。
(8) 計画への信頼ではなく、人間への信頼を得る。
(9) リスクを避けるのではなく、リスク体質を改める。
(10) リスク分散だけではなく、リスク最小化の手を打つ。
(11) 失敗を恥じるのではなく、失敗を率直に語る。
(12) 意思決定を精神の成長の機会とする。
3つの能力を発揮し、衆知を集めて、独りで決める
意思決定には「直感力」「説得力」「責任力」という
3つの能力が求められる。
以下に示すのは、アメリカのあるシンクタンクの経営トップの意思決定に際してのエピソードである。
――
「皆の意見はよく分かった。全員、このプロジェクトの実行には反対だね。さて、私の意思決定を伝えよう。このプロジェクトを実行する!」
この経営トップは、全員が反対しているにもかかわらず、自分の考えを通した。
この意思決定に対する自信を支えているものは何か?
彼は、「直感力だよ」と答えた。
この経営トップは、工学博士の資格を持つ人物である。科学者である彼が、科学や理論では説明しきれない「直感力」を意思決定の支えにしたのである。
さらに、彼には全員が反対するなかで自分の意思決定を貫き、メンバーに納得させる「説得力」がある。
意思決定に際して、マネジャーがメンバーの意見に謙虚に耳を傾けることは不可欠なことである。
しかし、意思決定は、あくまでもマネジャーの信念に基づくものでなければならない。多数の意見が必ずしも正しいとは限らないからである。
例えば、ソニーの「ウォークマン」の開発秘話にそれがみられる。経営トップは「再生機能だけにした、安価で小さなテープレコーダーを作ろう」という決定をした。これに対して、現場の技術者の多くからは「それは不可能だ」との反応が返ってきたと言われている。
もし、このとき経営トップが、多数の技術者の意見に従ったなら、ウオークマンは開発されなかっただろう。
この例に象徴されるように、革新的な商品の開発や、創造的な戦略は、優れた一人のマネジャーの直感力によって生み出されることが多いのである。
従って、マネジャーはメンバーの意見を聞いた上で、自分の信念に基づき決定する必要がある。そして、そのときに求められるのは、その決定をメンバーに納得させる力、「説得力」である。この「説得力」をつけるには「責任をとる覚悟」が必要になる。
優れた意思決定は、「直感力」「説得力」「責任力」という
3つの能力をきわめて高いレベルで発揮し、「衆知を集めて、独りで決める」というスタイルを実践することにより実現できる。
「経験」を積むのではなく、「体験」に高める
熟練したタクシーの運転手は、道端で手を挙げている客を見つけたとき、その風体を見ただけで乗車距離が分かるという。年齢や職業を瞬間的に判断することで、直感的に料金メーターがどの程度出るかが分かるというのである。
このように、経験を積み重ねることにより、その職業に求められる直感力は自然と身についていく。
しかし、明らかに現場経験を積んでいながら、直感力や洞察力が感じられない人もいる。それは、数多くの職務を「経験」するだけで、「体験」にまで高めてこなかったからである。
では、「経験」を「体験」にまで高め、直感力や洞察力を身につけるためには、どうすればいいのか?
それは「反省」をすることだ。経験を深く「反省」することによって、それを「体験」にまで高めることができる。経験を「反省」するという習慣は、プロの世界では、常識である。例えば、将棋の世界に対局終了後の「感想戦」というのがある。「あのとき、こう打てば、どうだったか」などと延々とやりあうのである。
「反省」するという方法の意義は、「言葉で語られる部分」に存在しない「何か」を知ることにある。
たしかに、「反省」とは「ここが、違っていた」「あそこは、こうすべきだった」というように「言葉」で語られる。こうして語られた部分にも、もちろん大きな意味があるが、本当に重要なのは「言葉にしきれない」部分なのである。
例えば、あるプロジェクトの失敗について反省したとする。失敗の原因を言葉で語ろうとするとき、それがきわめて重要な「何か」であるとは気づいているが、それを「言葉にしきれない」部分がある。
それは、紙にドーナツの穴を描くことに例えられる。本当に描きたいのは、ドーナツの穴だが、それを描くためには、その周囲のリングの部分を描き切らなければならないのである。
「反省」という方法の意義は、まさにこの点にあるのだ。「反省」という方法を通じて、言語化できることをすべて言語化する努力を尽くす。そうすることにより、言語化できない部分が徐々に深層意識の領域で明確化されていく。それが、あるとき直感のひらめきとして意識の表層に浮かび上がってくるのである。
ただ進むのではなく、退路を断つ
人は、どこにも退路がない追いつめられた状況のなかでこそ、最も鋭い直感力を発揮することができる。従って、直感力を引き出すためには、自分自身を精神的に追いつめ、自らの「退路を断つ」ことである。
そして、もうひとつ直感力を高める方法がある。それは、次の将棋の羽生棋士のエピソードにみることができる。
佐藤康光棋士との重要な対局のときに、羽生棋士は先手であるにもかかわらず、開始後数分間、指さなかった。通常なら、対局するまでに何を指すかを決めているはずである。
このとき、なかなか先手を指さなかったのは「静寂心を待っていた」からだという。大勝負の対局で最も大切な先手を「静寂心」で指すことにこだわったのである。どのような「先手」を指すかだけではなく、どのような「心境」で先手を指すかにこだわったのだ。
高度な直感力が求められる意思決定の局面で、最も大切なことは、いかなる「選択肢」を選ぶかではなく、いかなる「心境」で選ぶかなのである。
重要な意思決定に際して、なぜ「心境」が大切なのか?
それは、苛立ち、焦り、不安、恐怖などにとらわれ、落ち着きのない心境で意思決定したときには、直感力が鈍り、誤った判断をしてしまう可能性があるからである。
「無心」の心境にあるときは、不思議なことに直感力がひらめくものである。
マネジメントにおいて、「無心であること」や「私心のないこと」が求められる理由は、まさに直感力が求められるからである。しかし、「私心を捨てる」ということは、そうたやすいことではない。私心を「捨てよう」とすると、心の深層においてそれが増大し、逆に「こだわり」になってしまうからである。
私心を「捨てる」には、どうすればいいか? 私心を「見つめる」ことである。私心を、何の価値判断も差し挟むことなく「見つめる」と、不思議なことに「こだわり」は解消されていくのである。
例えば、意思決定に際して、自分の社内での立場、これまでの発言と整合性、部下に対する面子、リスクの重さ、そうしたことに対する「こだわり」が湧き上がってきたときには、それをありのまま「見つめる」ことだ。そうすれば、静かな心境がやってくる。
論理を語るのではなく、心理に語りかける
きわめて論理的に話しているにもかかわらず、相手が納得しないという場面によく出会う。
これは、ビジネス社会における
「論理的であることが説得力につながる」、という誤解から生じているのである。
なぜ、「論理的」であることが「説得力」につながらないのか? それは、ビジネス社会では科学の世界とは異なり、「論理的」であることが、決して「正しさ」を保証するものではないからである。
例えば、新規事業計画のプレゼンテーションをする場合に、その前提にあるのは市場予測の「値」である。しかし、この「値」は常に不確実なものである。
従って、プレゼンテーションをいかに「論理的」に行ったとしても、その前提条件である市場予測の「値」が予測値と変われば、計画は的を射たものにならない。これが、「説得力」につながらない原因である。
それでは、「説得」するにはどうすれば良いのか?
それは、自分の「論理」を中心に語るのをやめて、相手の「心理」に語りかけることである。「相手が何を聞きたいか」についての仮説を立てて、それに基づき話をする。そして、相手の表情や反応によってその仮説を検証し、臨機応変に話の内容を修正していくのである。
こうすることによって、相手の「心理に語りかける」ことができるのである。
「論理」というものは、かなり恣意的に組み立てることができる。従って、「論理を語る」とは、自分が信じる価値基準を元に組立てているにすぎず、それを貫き通すと、「自己中心的」な過ちを犯す可能性をはらんでいる。
これに対して、「心理に語りかける」とは、自分とは異なる価値基準を持つさまざまな人の気持ちを考えながら、話をしていく姿勢のことであり、そうすることによって「自己中心的」な過ちを回避することができるのである。
リスクを避けるのではなく、リスク体質を改める
意思決定においては、「リスク回避」あるいは「リスク分散」ということが、非常に重要になってくる。
そのリスク・マネジメントにおいて、リスクを最小化しようとするなら、単に目の前にあるリスクを避けようとするのではなく、その根底にある「リスク体質」を改めなければならない。
組織や人には、リスクを生みやすい「体質」「仕事のスタイル」というものがある。これを改めなければ、いつになってもリスクを回避することはできない。では、「体質」「仕事のスタイル」をどのようにして改めるのか?
本来、ビジネスマンが身につけておくべき「仕事の基本」というものがある。
失敗を犯しやすい「仕事のスタイル」になっている組織やビジネスマンは、まず「仕事の基本」に戻るべきである。
例えば、電話で顧客とのアポイントをとるときに、必ずアポイント日時を「復唱」することを習慣として身につける。
これは些細なことではあるが、こうしたことをビジネスマンが無意識に身につけるのは、ある種の「リスク感覚」であり、このリスク感覚の有無は「仕事のスタイル」に表れるものである。
実は、こうした「リスク感覚」や「仕事の基本」が身についていないビジネスマンは決して少なくない。
例えば、「会議が長引いた」という理由で、何の連絡もなく約束の時刻に遅れて来るビジネスマンがいる。これは、彼の「礼儀のなさ」もさることながら、「読みの甘さ」が心配され、この「仕事のスタイル」では、将来大きなリスクを抱え込むことになるだろう。
成功しているビジネスマンは、いずれもきわめて優れた「バランス感覚」を持ち、「仕事の基本」ができている。
マネジャーがリスク・マネジメントに取り組むとき、最初に行うべきことは、「仕事のスタイル」のチェックである。
そのときに求められるのは、部下の仕事の表面的な成功や失敗だけに目を奪われることなく、あくまでも「仕事の基本」を見つめる力である。「成功」のなかにも、よく見れば「失敗の芽」が含まれていたり、逆に「失敗」のなかに、「成功の芽」が含まれていたりする。
それらを見抜く力を磨くことこそが、リスク・マネジメントの基本である。
意思決定を精神の成長の機会とする
マネジャーが意思決定を求められるのは、日常的なできごとである。
しかし、非常に重要な場面、すなわち「正念場」での意思決定は、その結果いかんにかかわらず、人を成長させるものである。それは、「正念場」とは、先々を予測することがきわめて困難な状況のなかで、大きなリスクと責任を負わされている局面であるからだ。
大きなリスクと責任を負い、予測が困難な未来に向かって意思決定するという行為そのものが、深く人の精神を鍛え、成長させてくれる。
それは、意思決定が多くの場合「正解のない問い」を続けるという行為であることにほかならないからである。
例えば、経営合理化のために社員の解雇を決断せざるを得ない経営者の心境を考えてみると、多くの社員を救うために一部の社員に犠牲を強いるしかないという「最大多数の最大幸福」の論理で、自分と周囲を納得させることはできる。
しかし、その意思決定によって職を失い生活苦に直面する社員のことを考えるとき、「あの決断は正しかった」と胸を張って言える経営者はいないだろう。
このように、「正解のない問い」であることを認識しながらも、「答え」を求めて意思決定をしていくのである。
しかし、「正解のない問い」を前にして、「割り切り」という自らの弱さに流されることがある。「問い続ける」ことの苦しさから逃れるために、「不況だから」仕方がない、という「割り切り」に逃げ込み、精神を楽にしようとする。
だが、そのようにして精神が楽になった瞬間に、精神の成長は停止してしまう。
なぜならば、マネジメントとは「深き矛盾」のなかにあるからである。
人は、矛盾と葛藤することによって、鍛えられ、成長していく。「意思決定をする」ということは、決して「割り切る」ことではない。「深き矛盾」を胸中にしつつ、自らの内なる声に導かれて「腹を定める」ということである。
このことに気づくとき、マネジャーという職業が、生涯を捧げるに値する職業であることを知るだろう。・・・・・・・
日々、数多くの困難な意思決定の局面に立たされ、悪戦苦闘を続ける経営者にとって、勇気が与えられるとともに、課題解決に向けた多くの具体的な手法を学ぶための一冊のようです。
2002/ 4/ 4(木)
『社長は社内における顧客の代弁者』
新世書房発行の「元気な会社の元気な社長」という本(1200円)に、全国の63人の元気な社長が紹介されています。その中の一人として、隣接市である三条市の丸惣運送株式会社の渡辺喜彦会長が紹介されいます。
その内容の一部です。
・・・・・企業とは、環境適応業である。昭和53年、「早朝3時にパンを運んでくれないか」と丸惣運送(株)に顧客から輸送の要請が舞い込んだ。早速役員会に諮ったところ、反対意見が大多数を占めた。そこで当時専務だった渡辺会長は「実現しやすく楽にこなせる業務は誰もが手を出すが、そういう分野は競争も激しい。一見実現が難しそを述べた。
結局、渡辺会長の意見が採用され、結果として「苦難福門」となった。現在同社は営業種目も一般貸切輸送をはじめ、専属車、引っ越し作業、大型トレーラー輸送、精密機械据付作業、クレーン作業、倉庫管理等の業務態勢で新潟県を代表する運送会社に発展した。
同社は昭和24年、渡辺会長の父である先代が馬2頭で創業。・・・渡辺会長が高校2年の時、社長である父親が1年間家出するという事態に遭い、氏は勉学中の身ながら会社の運営・業務に当たることになった。しかしこの時期に「やればできる」との信念が身についたことは、偉大な財産となった。
昭和50年には日本創造経営協会の指導を受け、早朝出勤、明るい挨拶を励行した。その結果、社内が明るいムードにかわり、意思の疎通もスムーズになって、業績も上昇してきた。・・・
同社は「物流を通じて地域社会に貢献し、個人・会社共に物心両面から繁栄する」との経営理念のもとに、売上高100億円を目指して躍進中である。・・・
渡辺会長は若い頃から55才で社長を交代するのが夢だったという。高校時代から現在の仕事に従事してきており、その間の体験から、社長交代はトップの最後で最大の決定事項であり「早すぎてもダメ、遅すぎればチャンスを失う」ということで、会社の存亡を決する重要事項と認識していたが、平成12年4月、氏の高校時代の友人で会社の存続のために苦楽を共にしてきた鈴木氏に無事バトン タッチを終えた。
厳しい経済環境下ではありながら、平成12年の決算時には、丸惣運送(株)は傘下にあるグループ7社ともども黒字決算を達成。なかでも同社は対前年比増収増益を果たすことができた。
お客様、同業者と共に生き続ける丸惣運送(株)。モノを運ぶ会社から、こころを伝え明日を切り開く企業へと向かう、その前途は輝かしい。・・・・・
この近隣にこのような素晴らしい会社が多く存在していると思うと、嬉しい限りであります。機会をみつけ、渡辺会長の哲学、こだわり、思いを更につっこんでぜひ聞きたいものであります。
2002/ 4/ 3(水)
『直感で勝負』
将棋の世界で活躍している羽生善治氏は、96年に将棋界の7タイトルを独占。現在も5タイトルを保持中。そんな氏が将棋を指すうえで大切にしているのが「直感」とか。
「直感には邪念の入りようがない。長く考えるというのは道に迷っている状態なんですね。勝ちたいとか余計な思考も入ってくる。だからいくら考えてもわからない時は、最初に戻って直感にゆだねることがよくあります」と語っています。
様々な情報が氾濫している世の中、シンプルに物事を考えることが、かえって好結果を生む場合もあります。
ぜひ、直感を生かしたいものです。
2002/ 4/ 2(火)
『製造業・再生への挑戦』
昨夜、上記タイトルのNHK番組(再放送)をたまたま見る事が出来、ラッキーでありました。
その中で次の企業が紹介されていました。
沢根スプリング(従業員50人、年商9億円)は、3500種類のバネを製造販売している会社。キャッチフレーズは、1本でもスピード納品で、ファックス等で注文されたバネは、当日発送翌日配達を構築。この会社は自動車メーカーの下請けであったが、10年前に通販に参入。下請けで大量生産して売る場合、バネ1本1円のものが、通販では、200円。200倍の価格で販売できる。全体に対する通販の売り上げは、まだ数十%だが、利益貢献度はその何倍にも。
クラスターテクノロジー(従業員45人)は、インクジェットノズルの穴が1000分の45ミリで、その穴から、10億分の1CCのインクを吹き付けて印刷する技術を開発。
自らの技術に対する自信とこだわりを持ちつつ生き抜いていかなければならないという決意と同時に、親企業から仕事が来るのを待っているのでは生き残れない、と言いきられております。
日本のこうした技術は他の国にはマネの出来ないものということで、さらに磨きを掛けていき、お客様本意の商品を開発したいと・・・・・。
何もしなくて失敗するよりも、行動して失敗した方が後悔しないと、ある社長が言っておりました。
持てる技術をいかに発揮するか、行動(挑戦)あるのみと言うことでしょうか。
2002/ 4/ 1(月)
『感動する病院』
先日頂いたメールです。
・・・・・栃木は宇都宮へ行って参りました。訪れた場所は済生会宇都宮病院です。この評判の良い病院で新人看護婦・看護士の接遇セミナーがあると聞き、見学をさせていただきました。
私が持つ病院のイメージとは大きく異なり、まるでホテルのようです。ここが病院なのかと圧倒されました。入口に入って、とにかく明るく清潔。
病院内には右に満開の花屋、左奥のレストラン、2Fには多目的ホールも有り。フロアにはスタッフの方々のあふれる笑顔と一生懸命さ。
病院に入った私まで明るく元気になりました。そこで、受付でお話を聞くと、やっぱり納得。患者としてではなく、全国から見学のためにわざわざ足を運ぶ方も多々いらっしゃるとのこと。
宇都宮駅から車で10分ほど。近くに行く機会がありましたら一度寄って
みてはいかがでしょうか。・・・・・
ぜひ一度、治療ではないかたちで、寄ってみたいと思っております。
今日から新年度。新しい週。天気も快晴の一日になりそうです。新たなスタートにふさわしい一日になりそうですね。今週も頑張りましょう。
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