開業当初のことです。
とある経営者の方の講演で、社員に支払う給与は他のどの支払いよりも最優先に支払わなければならないもので、絶対に定められた支給日を遅れて支払ってはいけない。もし、たとえ1日でも遅れるようなことがあったらその会社は存続できなくなると考えるべきという話をお聞きした記憶があります。それ以来、給与の支払い遅延だけは絶対してはいけないのと認識させられたところです。
考えて見れば当然の話で、その会社が儲かっていようないまいが、資金繰りがいいか悪いか社員には関係ない話です。雇用契約に基づいて仕事をして支給日が到来すれば定められた日に給与をもらう権利があるわけですから。給与は生活するためのもの。
もし、遅延するようであれば、優秀な社員ほどその翌日から退社していってしまうと考えるべきです。
ところで、労働基準法第24条では「賃金支払いの5原則」を定めています。
1.通貨払いの原則
2.直接払いの原則
3.全額払いの原則
4.毎月最低1回払いの原則
5.一定期日払いの原則の5原則です。
ただし、社員が同意すれば振り込みでも当然OKですが。
これは、労働の対償である賃金が安全かつ確実に労働者に渡るという趣旨のためです。
もし、仮に事務処理等の煩雑さのため等で、給与支払日を従来よりも遅らせたい場合には、社員と十分協議したうえで、就業規則や労働協約の変更を実施し、改訂しなければなりません。
また、原則として労働基準監督署への届け出も必要です。
もし、支給日を遅らせるという結論になった場合には、できれば変更月には労働者の希望に基づき、従来の支給日に一度仮払いなどするなどの便宜も取るべきではないでしょうか。
ちなみに、給与の支払いが遅延した場合には、その給与がない場合には、本来支払われるべき日の翌日から、遅延している期間の利息に相当する遅延損害金(年利6%)がつくこととされています(商法第514条)ので・・・。
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