月刊誌・日経トップリーダーの2月号の特集は「近江商人の経営パワー」。
その特集記事の中に、イエローハット創業者鍵山秀三郎さんの記事が2ページにわたって掲載されています。
タイトルは「天秤棒を担ぎ、人のために汗流す。日本の閉塞感を打破する手がかり。」
鍵山秀三郎さんが、1984年に「私財を投じても伝えるものがある」と考えての決断の末に作られた映画「てんびんの詩」作成の際の思いを語っています。
私自身、税理士事務所を開業したばかりの頃、この「てんびんの詩」と出逢い、強烈な感動で涙を流しながら見終えたのを昨日のように覚えております。
その後、いろいろな方々に紹介したり、団体でのバス旅行の際にこの映画を上映しみんなと涙を流しながら繰り返し見たことも。
何度見ても感動するものですね。
知る人ぞ知る名作であります。
この「てんびんの詩」のあらすじの一部を紹介すると・・・・。
時代背景は大正か、昭和初期だだったようです。
物語は近江商人の家に生まれた主人公・近藤大作が小学校を卒業するところからはじまる。
その日、大作は父親から祝いの言葉と共に、包を贈られる。
中に入っていたのは鍋蓋だった。
彼には意味がわからない。
だが、そのなんの変哲もない鍋蓋が大作の将来を決めることになる。
父親は彼にそれを売ってこいというのだ。
それを売ることもできないようなら商家跡継ぎにはできないと…。
大作の前には商いの心を、近江商人の魂を模索する辛苦に満ちた日々が待っていた。
店に出入りする者の家を回るが、親の威光を嵩にきた押し売りのような商いがうまくゆくはずもない。
さりとて、見知らぬ家を訪ねても、けんもほろろ、ろくに口さえきいてもらえない。
親をうらみ、買わない人々をにくむ大作…。
父が茶断ちをし、母が心で泣き、見守る周囲の人々が彼以上につらい思いをしていることに、まだ大作は気づかない。
時には甲賀売薬の行商人にならいもみ手の卑屈な演技をし、時には乞食娘をまねて、農家の老夫婦を泣き落としにかかったりもするが、しょせん、うそとまねごと。
心のない商いは人々の反感を買うだけだ。
いつしか大作の目には涙が…。
そんなある日、農家の井戸の洗場に浮んでいる鍋をぼんやりと見つめながら、大作は疲れ切った頭で考える。
「鍋蓋が無うなったら困るやろな。困ったら買うてくれるかもしれん。」
しかし、その次の瞬間“この鍋蓋も誰かが自分のように難儀して売った鍋蓋かもしれん”と思う。
大作はただ無心に鍋蓋を洗いはじめる…。近づく足音にも気づかない大作。
女が問う。
「何で、うちの鍋、洗ろうたりしてる。お前どこのもん。」
大作、思わずその場に手をついて「かんにんして下さい。わし悪い奴です・・・なんにも売れんかったんやないんです。モノ売る気持ちもでけてなかったんです。そんな三ヵ月やったんです。」
彼の顔をふいてくれる女。
それは、母親が実の子にする愛の行為そのものだった。そして、大作が我が子と同じ十三歳と知った女は、彼の鍋蓋を売ってくれという。
売れたのである。
はじめて、売れたのである。
〝売ればわかる″といった父親の言葉の意味を大作は知る。
売る者と買うものの心が通わなければ、モノは売れないということを…。
人の道にはずれて、商いはないということを…。

ぜひ一度ご覧いただく価値大です(数日程度であれば当事務所所有のDVDを貸しいたしますよ)。
DVDの販売は下記で行っています。
“てんびんの詩”は、第1部・第2部・第3部の3部作です。
“にんげんだもの”も涙がこみ上げてくる映画です・・・。
自分の利益ばかりを考える風潮は今の日本にはさらに強くなってきているといわれています。
今こそ、近江商人の目先の利益を追わず何代にもわたって続く商売をしたいものですね。
まさに「てんびんの詩」は、鍵山さんが“三方よし”を学ぶために作られた映画です。
http://www.ryousyo1000.com/28.html
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