先日、当事務所のお客様より、倒産する企業の特徴は・・・という質問が。
その際、税理士事務所開業前(今から25〜6年前)に、自身の倒産体験をもとに企業を倒産させないためにはというテーマで話された野口誠一さん(八起会会長)の言葉の数々を思い出したところです。
当時勤務していた新潟県商工会連合会が倒産防止対策セミナーとしての講師として野口さんを講師としてお呼びし上・中・下越の3カ所で実施した際の事務局を務めさせていただいた時のことです。
その「野口誠一さんの“生き残る企業の条件”」というコラムをWeb上で見つけましたので紹介いたします。
『倒産する社長の共通10項目』
1.自己中心
ひと頃「ジコチュー」が流行語となったが、このタイプの人間はことのほか人に嫌われる。
社長は自身のジコチューに気付くことなく、いよいよ裸の王様となっていく。
一方、社員の面従腹背もますますひどくなっていく。
これは双方にとって悲劇と言っていい。
そのような会社は遅かれ早かれ倒産を余儀なくされよう。
2.悪いことはすべて他人のせい
倒産の原因はすべて経営者にある。
むろんこれは本音だが、言いわけの多い経営者に対する警告の意味もある。
八起会へ相談に訪れる経営者のなかにも、言いわけ組は少なくない。
不振の原因をすべて「米国発の金融危機」「百年に一度の世界同時不況」「銀行の貸し渋り」のせいにして、自分の経営手腕のなさは棚の上である。
3.嫌いなこと、苦手なことを避ける
機械いじりが好きで一日中工場に入り浸りだった元経営者もいれば、営業が得意で全国をとびまわり、ほとんど会社に姿を現わさなかった元経営者もいる。
しかし、一芸をもって経営をまっとうすることは難しい。
それは彼らの倒産が語って余りある。
いちばん多い失敗例は「経理が苦手」「数字が読めない」というケースである。
これは羅針盤なき航海にも似て、非常に危険である。
経理マンに任せっきりにして大穴をあけられた、などというケースは論外としても、数字が読めないばっかりに、せっかくの経営を棒に振る悲劇も少なくない。
4.真の勇気がない
「真の勇気がない」経営者の特徴として、謝罪ベタと相談ベタを挙げることできる。
社長の沽券にかかわるとでも思うのか、謝っているのに頭が高かったり、言いわけが多かったりで、かえって傷口を広げてしまうケースも少なくない。
謝罪は経営者にとって、ピンチを逆転する最後のチャンスと言っていい。
その要諦は迅速と誠意である。
5.頭で分かっていても実行しない
「頭で分かっていても実行しない」ことである。
たとえて言うなら、勉強しなければ落第すると分かっていながら、勉強せずに落第する学生のようなものである。
「そんな当たり前のことを」とは言うまい。その当たり前のことができずに倒産した中小企業の例は、枚挙にいとまがない。
そのあたりの事情は大企業として同様である。
6.お人好し(頼まれたらノーと言えない)
他人に何か頼まれてノーと言えないということは、見栄や性格の弱さもさることながら、根本的には物事や善悪の判断能力が欠如していることを意味する。
それではとても経営者などつとまらない。
経営は一に判断力、二に決断力、三に実行力の三位一体を要する。
どれが欠けても倒産を免れない。
にもかかわらず、肝心の判断力を欠くアバウトな経営者が意外に少なくない。
安易に融通手形を切ったり、連帯保証人になったりで窮地に追い込まれ、八起会へ駆け込んでくるケースも後を絶たない。
「経営者が他人に何かを頼まれたときは、冷静に沈着に、二つの判断を下さなければならない」とアドバイスしている。
一つは、依頼者の意図と人となりを見抜き、それが嘘や詐欺でないことを確かめたうえで、さらに、いまその人を助けることが本当にその人のためになるかどうかの判断である。
7.還元の心なし
「経営の目的は還元なり」と大書されてあるが、それは私の持論であると同時に、わが会員の総意でもある。
そもそも企業とは、提供する商品やサービスをもって消費者、ユーザーの便宜に資する社会の公器であろう。そして、その使命を全うするのが経営であろう。
とすれば、奉仕の精神や還元の心を持たない者は、企業経営に携わるべきでないとも言える。
が、現実はどうもそうなっていないようである。
社会貢献どころか、社会に害悪をタレ流し、国民を不安に陥れるような企業不祥事が後を絶たない。
8.反省心の欠如
反省は企業にとっても経営者にとっても、成長と向上のビタミン剤と言っていい。
このビタミン不足に陥ると、遅かれ早かれ倒産を余儀なくされる。
八起会はそうしたビタミン欠乏患者の集まりのようなものだが、その患者に根気よくビタミンを注入し、再起を促す病院でもある。
が、全快して退院できる患者はニ、三割程度にすぎない。それほど「反省」は難しいということでもある。
反省と後悔は似て非なるものと言っていい。
反省の心は明日へ向かうが、後悔の心は昨日に張り付いたまま動かない。
真の反省は、昨日までの自分のあやまちを潔く認め、明日から別人に生まれ変わることを意味する。
それだけに実に難しい。
倒産して地位、名誉、財産、人間関係まで失いながら、なおかつ反省できない患者が少なくない。
9.時間貧乏(働きすぎ、遊びすぎ)
私は常々「忙しすぎる経営者は危ない」と言っているが、それは「忙」という字が「心」が「亡ぶ」という意味だからである。
一事に夢中になって心を奪われ、著しくバランスを欠くからである。
経営は何をおいてもバランス感覚である。販売力が抜群でも計数管理がずさんだったり、技術力があっても組織管理がなっていなければ、その経営基盤は危ういと言わざるを得ない。
日本では「忙しい」といえば「結構なこと」と好意的に受け取られるが、欧米では無能、時間管理ベタを意味する。
遊びすぎは論外としても、働きすぎも要注意である。事実、わが会員のなかにも、「働きすぎ」で倒産を余儀なくされた例は少なくない。
10.公私混同(金銭感覚の欠如)
これは中小企業の間にかなり蔓延していると言っていい。というより、多かれ少なかれ中小企業のオヤジはそんなもの……という風潮さえある。が、それは大きな間違いだ。
そもそも、社長の公私混同がなぜ起きるかといえば、会社を私物視するからである。
しかし、企業は規模の大小にかかわらず、社会の公器であり、社長の私物ではない。
それを「自分のもの」と錯覚したとたん、会社の金は自分のものとなり、社員・従業員はただの使用人となってしまう。
こういう会社、社長は間違いなく倒産予備軍である。
昨今の業績悪化を100年に1度のリーマンチョックの性にされる方も多いようですが、好景気も不景気も倒産はつきものと野口会長は自信の倒産体験を踏まえて30年以上この八起会で倒産防止活動を行っておられます。
野口会長は、講演などでもこの10項目を紹介し、「このうちの3つ以上に該当する社長は倒産予備軍だ」と話されているとのこと。
なかには自己採点したり、社員に無記名でチェックさせている社長もおられるそうであります。
「いまの倒産急増は「100年に1度」のせいというよりも、それを先見できなかったこと、あらかじめ備えられなかったこと、的確に対応できなかったことに原因がある。すなわち、経営者の資質と能力の問題がある。」と、野口会長は述べています。
県内では、5月危機説を唱えるコンサルタントの方もおられるようです。
早速、この10項目について、自己採点してみましょう!!
出典は下記のWebからであります。
http://www.koushinococoro.com/magazine/business/noguchi_kigyou/backnumber.html
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