総選挙を前に政治家が親の地盤を子が引き継ぐという世襲が問題となっています。
一昨日、新たなお客様をご紹介頂きその企業に訪問その際、当事務所のスタンスとお客様企業とのかかわり方を説明。
その際、今話題の中小企業の事業承継税制の質問を社長様から受けた次第(政治家の世襲とは全くじげんが違う問題であります)。
ということで、つぎのような話をさせていただいたところであります。
・・・・経営承継円滑化法が施行され、事業承継税制が整備ましたが、事業承継のかかえる問題の根底は、それ以前のところにあるように思います。
事業承継をしやすくするための税制や株式の引き継ぎ方法を検討する前に、後継者として事業を承継してもらいたい子供が、自社の会社を承継する意志があるかどうかという問題であります。
すなわち、後継予定者がいても、引き継ぐべき会社の財務体質が悪化していてその将来が見込めないような会社では引き継ぐはずはないというものです。
要は、いかにして子供が引き継ぎたいという会社にしておくかと言うことが最大の事業承継なのではないのでしょうか。
いくら、税制面等で優遇しても、もともと自社株の評価がほとんどない状態であれば税負担を心配するに及ばないというものです。
一番の事業承継対策は、現在の会社をいかに魅力ある会社にするか、いかに財務内容を良くしていくかなのではないでしょうか。
かりに魅力もなく財務体質も厳しい会社を無理やり子供に承継させたところで、その後の負担やリスクが大きくなるだけ。
最悪の場合、会社の清算といった選択肢も考えなくてはならないことになることも考えられます。
仮に、財務内容に問題ない会社であったとしても、事業承継には最低10年をスパンに事業承継計画を策定し実行すべきですね。
今回の民法の遺留分制度の特例についても問題点があります。
この遺留分の特例には、推定相続人全員の同意が前提となっているため、親族内にトラブルメーカーがいる場合には事実上適用が困難となります。
遺留分を放棄するということは、当事者にとって不利な選択を行うことになるわけで、これにみあうだけの財産を必要とする場合も十分に考えられるところです。
なんといっても今回の事業承継税制では、自社株の80%の納税猶予という店のみが注目されています。
しかし、今回のこの制度は自社の議決権株式の2/3を限度としており、仮に議決権株式全部を後継者が相続したとした場合でも納税猶予されるのは2/3×80%の53%余り。、残りの46%余りについては依然として納税義務が生じることになります。
これ以外にもいろいろな諸問題が山積しているため、この制度の利用には慎重の上にも慎重を期す必要があるようですよ・・・
と。
最後は、中・長期の経営計画が規模の大小にかかわらず必要ですね!という話になった次第であります。
昨今の“経営環境変化”が激しい時代は、優良といわれた大企業でも10年後存在しているかどうかわからないのが現実。
いままでは、企業の寿命は30 年と言われてきましたが、もはや昔の話のようです。
いかに地域になくてはならない企業となるか、またなり続けるかを、今考えることが中小企業にとって最大の課題のようであります。
企業の存在価値(存在が危ぶまれるような企業体力の有無)を考えずして事業承継はありえないのではないでしょうか。
税制に振り回されることなく、今やることは何か、また、何が大事かしっかり再確認したいものですね。
木をみて森を見ずにならないように。
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